多様性にも色々

前回のブログで、同じ関西弁と思っていても、微妙なニュアンスが違って困ったという話を書きました。

今回は、昨今話題の性の多様性についても考えてみたいと思います。

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LGBTという言葉が広く一般的にも知られるようになってきましたが、決して一枚岩のものではありません。一括りにされると嫌な気持ちになる方もいらっしゃいます。

例えば、トランスジェンダーの方が同性愛者に対して、見た目だけでは分からないからといって、「トイレや服装のことで困ることがないから、LやGの方が楽でいいよね」なんて言われたり。逆に、トランスジェンダーだからといって、皆が皆性別適合手術を受けたいと思っているわけではないのに、そう思われたり。一口にLGBTといっても、性のあり方が本当に多様で、4つに分けておしまいというわけにはいきません。

昔から多様性はあったにしても、LGBT自体が比較的新しい概念であり、その中でもまた色々あるというと、悪気はなくても混乱してくる方もいらっしゃるでしょう。

元々、人は自分のよく知らないことに対して、分かりやすく認識するために、自分の物差しに当てはまるように考えるようにできています。コンピュータのようなアルゴリズムに対して、こうした人の認知方法をヒューリスティックと呼びます。その人がどんな人なのか、一から調べ上げていくには、時間や情報が圧倒的に足りません。そのため、短時間で相手を予想し記憶していくために、自分の過去の経験で出会った人や知識に当てはめて、人を判断していくのです。

「関西人だから面白いことを言うのだろう」、「ゲイだから筋肉質な男性が好きなんだろう」などと、ステレオタイプに当てはめていこうとするのです。

このような認知方法が取られるのは、高度な情報化社会が発展していく中で、必然のことかもしれません。大事なのは、ステレオタイプを恐れることではなく、自分の偏見に気付き、それを修正していくことだと思います。「関西弁だから面白そう」と思ったけど、案外この人はツッコミが苦手なんだな、などと気付いたときに違いを認識できれば良いのではないでしょうか。誰でも偏見を持つ可能性はある。そして、他人のことはその人にしか分からないから決めつけない。この二つ原則を肝に銘じておきたいなと思っています。

 

MEDI心理カウンセリング大阪

公認心理師・臨床心理士 可児

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