絵本から学ぶ②「たくさんのお月さま」

子育ては親育ち。子育てをしながら、子どもの絵本からも学ぶことがたくさんあります。

今回ご紹介するのは、米国人作家のジェームズ・サーバー作「たくさんのお月さま」。初版が出されたのが1943年、なんと79年も前に作られた絵本です。

とある王国の病弱なお姫さまを元気づけようと、お姫さまの欲しがる「お月さま」を与えてあげようとする王様が家臣たちを使って四苦八苦します。科学者を呼んだりする姿が面白いのですが、結局誰にもできなかったお月さまを用意できたのは道化師でした。道化師がやったことは、太陽系の惑星である月を用意したのではなく、お姫さまに「お月さま」とは何かを訊いたことでした。そのお姫さまにとっての月とは、「キラキラ輝く光り物」だったというのです。

このように、同じ「月」と言っていても、本当に同じものを指しているのかは分かりません。人それぞれに思う「月」を手に入れるために、まずはその人の思い描く「月」がどういうものか、聴かないことには始められません。カウンセリングにおいても、日常の対人関係においてもそれは変わりません。

また、道化師が解決したというのも面白いところだと思います。うどん屋に行ってもカレーライスは手に入らないでしょうが、カレーうどんならあるかもしれません。誰にどうものを頼むのか、といったことも大切になってくるでしょう。

まずは、その人がどんなものを望んでいるのか、次に誰に何を頼むのか、を確認する。そして、その人にとっての「お月さま」を手に入れられるといいですね。

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MEDI心理カウンセリング大阪

公認心理師・臨床心理士 可児

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