動物から学ぶPMS

PMS(月経前症候群)については、以前もこちらのブログ→「月経前症候群(PMS)について」で取り上げましたが、今回は霊長類学・発達心理学者、正高信男氏の著作「マスクをするサル」を参考に、歴史的観点から考えてみたいと思います。

PMSのよくある症状として、①イライラ、②憂うつ、③食欲増進が挙げられます。正高氏は、ニホンザルやヒヒ等、月経のある哺乳類の行動観察から、これらの症状との共通点を探りだしています。

弱肉強食の世界に生きる動物にとって、自らの存在を他者に常に知らしめてしまうことになる出血は、リスクとなります。出血が続くというだけで、生存リスクが脅かされるのです。そのため、生理が近づくと神経は過敏になり、些細な刺激にも大きく反応してしまう(①)というのです。また、生理中のメスは群れから離れて木の上に隠れることもあるので、孤立感も高まる(②)そうです。移動もできなくなるので、そのときに備えて、生理前にたくさん食糧を摂取しておく(③)という姿も観察されています。

このように考えてみると、PMSの症状一つひとつにきちんと意味があり、遺伝子的に組み込まれた習性なのかもしれないと思いますよね。歴史的にヒトも同じような過程を経てきているのであれば、これらの症状も仕方ないことかもしれません。少なくとも、個人の気合いの問題では片付けられないことだと思います。

生理前にイライラしたり、憂うつになったりしても、自分のせいだと責めないでいてほしいなと思います。

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MEDI心理カウンセリング大阪

公認心理師・臨床心理士 可児

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