昨今、インターネットには情報が溢れていて、カウンセリングに通わずして様々な心理的支援を受けることができます。
以前から本で自ら学んでということはありましたが、インターネットでは簡単に動画も見ることができ、情報量は格段に増えているといえます。
例えば、自信の付け方や嫌な人との付き合い方など、検索すれば色んな方法が出てきます。「こんなときどうすれば良いの?」といったことに、今後はAIが答えてくれるでしょう。
それでも、個別カウンセリングを仕事としてやっていく理由は何でしょうか?
私は、自分が心理士だからということもありますが、個別のカウンセリングはAIにはないものがあると思っています。一つには、人との出会いとして生の人間関係を築くことです。一緒にその場を共有することで生まれるものもあります。
もう一つには、個別カウンセリングでは、その方にとってのタイミングを推し量れることだと思います。例を挙げると、求職中のクライエント・Aさんが、就職活動が上手くいかなくて悩んでいたとします。自分では、自己分析や面接対策が足りていないんじゃないかと、もっともっとと努力しても上手くいかない。実は、Aさんはそれ以前に何事にも自信がなくて落ち込み気味だったとしたら、必要なのは面接対策よりも、まずは自信を付けていくことです。もしかしたら、自信を失くすようなトラウマティックな出来事があったのかもしれません。その出来事を扱っていくことが、遠回りですが、自信を付けて就職活動に挑めるようになることに繋がっていく場合もあります。
このように、今のその方にどんなニーズがあって、どんな状態なのか、を見極めた上で情報を提供できるのは、個別カウンセリングの良いところだと思います。
同じ情報でも、タイミングを間違えれば、役に立たないものになってしまうかもしれません。動画で見た「心を落ち着ける方法」が役に立たないときは、その方法が合っていないか、今はそれをやるべきではないときだったか。また別のときに同じ方法を試してみたら、上手くいくときもあります。
もう一つ別の例を挙げると、マインドフルネス瞑想などは、音声ガイドがあるとやりやすいので、インターネットを活用すると一人でもできてとても便利です。ただし、使うときを間違えれば余計に悪化してしまうこともあるので、やはり注意が必要です。マインドフルネスでは、起きてしまった悲しい過去やこれから来るかもしれない将来への不安から、「今、ここ」で起きていることに目を向けます。変えられないと分かっていても過去のことばかり考えてしまうという人には役立ちますが、現在危機にさらされている人にとっては、「今、ここ」を見つめ過ぎてしまうとよくありません。また、そんな辛い時期のある人であっても、一生マインドフルネス瞑想ができないわけではありません。状況が変わって「今、ここ」が安全であれば、自分でアプリや動画サイトの音声ガイドを使って瞑想をしていただけると思います。
しんどいなと思ったときは、まずはカウンセリングを受けてみて、今の自分にはどんな方法が合っているかな?と探るというのが私の一番お勧めしたい方法です。カウンセリングに行ってみるイコール何年も通わなければならない、というものではありません。ただ、時間やお金という制約もあり1回行くのも難しいという方も、インターネットの情報を鵜吞みにするのではなく、自分にはどんな方法が合ってるか、考える時間を取ってもらえたらと思います。自分だけでは分からなければ、友人や家族といった第三者の視点も聞いて参考になさってください。
最後に、もう一つ個別カウンセリングの利点をいうと、やはり人と人との出会いがあることではないでしょうか。家族でも友人でもない専門家が、45分みっちりあなたの人生に一緒に向き合う機会は、他ではなかなかないと思います。そう信じて日々精進しております。
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MEDI心理カウンセリング大阪
公認心理師・臨床心理士 可児