今日から9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いています。夜だけでも少し涼しくなってくれたのでほっとしますが、油断せず熱中症には気を付けてお過ごしください。
さて、今日は「カウンセリング」という言葉について考えてみたいと思います。カウンセリングはもちろん、英語のcounselingからきていますが、カウンセリングを日本語にしてみるとどうなるでしょうか。
辞書には、一言でいうなら「相談、助言」と載っているようです。もう少し詳しい説明をと思うと、「専門家が心理学的な資料などを用いて、相談者の悩みや問題を援助すること」といった内容のようです。
カウンセリングとの表記を使っているところは、心理療法だけでなく、美容院やマッサージなどの美容カウンセリング、キャリア相談などのキャリアカウンセリングがあるかと思います。
心理学でいうところのカウンセリングと共通している点といえば、クライエントの要望を聞いて、専門家ができることの提案をして、クライエントが何かしらの選択をする、というところでしょうか。
ここで大事なことは、西洋文化における「契約」という概念が根本にあるということです。クライエント側が何を求めているのか、だけでなく、専門家側も自分の力量や持っている資格によって、提供できるものをはっきりさせておくことが重要になってくるのです。
例えば、私は臨床心理士と公認心理師の資格を持っているので、心理療法を提供できますが、医師ではないので診断や薬の処方はできません。他にも、完全予約制ですので、時間外の緊急対応には応じることができません。初回の方は、事前にご予約を取っていただく必要があり、基本的には当日予約は受け付けておりません。継続の方は、調子が悪くなったときはご予約を早めることはできますが、「10分だけでもいいから今すぐ話を聴いて欲しい」というご要望にはお答えすることができません。冷たい対応だと思われるかもしれませんが、45分や90分という時間枠を設定しており、その時間を確保するためには、セラピストの手が空いているからといって10分だけの枠を急に作ることはできないのです。
クライエントさんを選りすぐっているわけではなく、安定してサービスを提供するために制約を設けていることをご理解いただけますと幸いです。美容室に行けば、髪に関する悩みを解決する、マッサージに行って筋肉をほぐしてもらう、というように、それぞれ目的がはっきりしていると思います。美容室に行って腰痛治療をしてもらおうと思わないのと同じです。
ただし、心理療法となると、この目的というのがなかなかはっきりしないことも多いです。何となくこのモヤモヤした気分を良くしたい、と思っていても、具体的にはどのようにしてほしいのか分からない、という場合もたくさんあるでしょう。初回のカウンセリングでは、「どうなりたいのか」といったイメージも丁寧に聴いていきますので、ぼんやりしたままでも大丈夫です。一緒に考えていきましょう。
また、心理療法には正解というものがなく、クライエントさんからもよく「こんな感じでいいんですか?」と言われることもあります。正解はないというか、長い目でお役に立てていればそれが正解になりますので、人によって変わってきます。他の人がどんなカウンセリングを受けているか、一般的なものはどんなものか、という基準は気にせずに、今の、あるいは数ヶ月先の自分にとって役に立つものかどうかを考えていただければと思います。
MEDI心理カウンセリング大阪
公認心理師・臨床心理士 可児