インターネットとの付き合い方

インターネットのニュース記事には、日常的に誰かの不幸が載っているような気がします。新聞記事と違って、話題になったSNS投稿やコラムなどが多いせいでしょうか。

子育て中の私が気になるのは、子ども連れでこんな嫌がらせをされたとか、PTAでの苦労話だとか、そういった子ども関連のものです。読んで楽しい気分になることは滅多にないと分かっていても、ちょっとしたスキマ時間に見てしまいます。

中には、本当にこんな嫌がらせされるの?!と疑ってしまうような衝撃的な話も多々あります。インターネットなので、情報の真偽は疑わしいものがありますが、私には確かめようもありません。噓も誇張もあると思って、話半分に読んでいた方がいいでしょう。

そういった記事ばかり見ていると、世の中の人はなんてひどいばかりなのか、と悲観的になってしまうかもしれませんが、ご自身のことに当てはめて考えてみましょう。私自身も、やはり子連れで不快な思いをしたこともありますが、ほんの一握りのエピソードに過ぎません。毎日毎日、嫌な思いをして過ごしたわけではないです。ベビーカーでスーパーに行って、何事もなく家に帰った日もたくさんあり、数でいうとそういう日の方が圧倒的多数です。でも、人の記憶には感情のバイアス(偏り)がかかりますから、何事もない平穏な364日よりも、1日の不快な体験を強烈に覚えているのです。まして、わざわざインターネットに書き込みをするというのは、その人にとって特別な何かがあったときということも多いでしょう。毎日投稿している人ならともかく、2,3週間に1回投稿する人を想像して考えてみてください。何でもない日常を「今日はいつも通り公園へ行って子どもを遊ばせて帰った。」とだけ書くよりは、「公園で子どもがうるさいと怒鳴られた。」というときの方が書き込みをしやすいでしょう。

また、良いエピソードよりも、不快なエピソードの方が人の興味を引きやすいというのも考えられます。他人の不幸は蜜の味、といいますが、人間の脳は危険に備えるため、ネガティブな情報の方がキャッチしやすいのです。そのメカニズムを利用して、より刺激的なものをタイトルに入れて、閲覧数を稼ごうとしているライターもいるのではないでしょうか。

ではここで、ポジティブな書き込みもあるという一例として、私自身が子育て中に嬉しかったエピソードを披露したいと思います。よく行くスーパーで買い物をしている途中で、ベビーカーに座っていたまだ乳児だった頃の我が子が泣き出してしまったときのことです。レジで精算する辺りから泣き出してしまったので、ベビーカーから子どもを抱き上げてあやしていました。そのまま袋詰めカウンターまで移動して、片手で抱っこしながら、もう一つの手でエコバッグに商品を詰めようとしていたところ、隣の婦人が「ここに入れたらいいのね」と言って、代わりに袋詰めしていってくれたのです。全く知らない私にここまで親切にしてくださったことに、とても感動しましたが、「ありがとうございます」とだけしか言えませんでした。

世の中には色んな人がいて、良い人もいれば嫌な人もいるし、嫌な人ばかりでもない。誰かの不幸を背負い込んでしまいそうなときは、そんなことを思い出してもらえればなと思います。

 

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MEDI心理カウンセリング大阪

公認心理師・臨床心理士 可児

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