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新刊「あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには」、「公認心理師」国家資格に関する法人代表の私的見解について

「公認心理師」国家資格に関する法人代表の私的見解

 「あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには `16~`17年版(以下、公認心理師になるには)」の著者で、一般社団法人 国際心理支援協会の浅井伸彦と申します。普段は、大阪の私設相談室「MEDI心理カウンセリング大阪」臨床心理士として活動しています。


 拙著「公認心理師になるには」が刊行されて間もないですが、さすがに全国出版ともなると様々な方からご意見・ご感想をいただいておりますので、あらためて私的見解を述べさせていただきたいと思います。


「公認心理師になるには」は、刊行されてよかったのか


 「公認心理師になるには」の執筆には、個人的に以下のような大きな葛藤がありました。


A1.公認心理師の情報が、全て出揃わないうちに刊行することの是非
A2.公認心理師という国家資格に関する本を、自分のような立場で刊行することの是非
A3.「先行者利益」と言われ、主に金銭的なメリットでの刊行と思われる可能性


 それに対し、本書が刊行されることによって、どのような意味合いがあるのかを考えました。


B1.公認心理師に関する情報を十分に拾えていない方へのダイジェストとして
B2.公認心理師というまだ”イロ(色)”がないものに、心理学の多様性を持たせるとっかかりとして
B3.現在、臨床心理士指定大学院を目指している方の2017年以降の進路の参考として


上記、A1〜A3のような危惧があったため、非常に悩みました。


 ですが、出版社との話し合いの結果、「ダイジェスト版としてだけでも、知らなかった人には価値のある情報だろう」「『数年後に大学院を受けよう』と、元々臨床心理士を目指していた人が、大学院修了後『公認心理師』を取得するためには、もう一度学部に戻らなければならなくなった場合、『あの時知っていれば、もう少し早く受験していたのに』と思うのではないか」ということから、思い切って刊行に踏み切ることとなりました。


 実際、最も大きい点としては、「『公認心理師』の”イロ(色)”、つまりイメージが今後、形作られる上で、早い段階にイメージ作りに参加できる」という点でした。


 「臨床心理士」という資格は、良くも悪くもすでに”イロ”がついています。「公認心理師」という歴史的大転換において、これからどのような”イロ”がついていくか、それはどのような形で心理職がこの「公認心理師」という国家資格をアピールしていくかに尽きると考えられます。



「公認心理師」のイメージを心理療法間で中立的なものにしたい


 「臨床心理士」という資格のイメージは、一般に対して、理論としては精神力動系のイメージが色濃く、そこにロジャーズのパーソン・センタードアプローチ(あるいは来談者中心療法)による”傾聴”イメージが付随しているように思われます。その他、認知行動療法や家族療法、ブリーフセラピー、対人関係療法、EMDRといった理論的イメージはほとんどありません(臨床心理士自身ですら、そうかもしれません)。


 とはいえ、精神力動系や人間性心理学を否定するわけでは全くありません。「公認心理師」という国家資格では、「理論的立場や心理療法には多様性がある」ということを知ってもらえるきっかけにしたいと考えています。そのことによって、「ちょっと合わないかも」と思った方が、そこでカウンセリングを受けることを諦め、やめてしまうことなく、自分に合った心理療法・セラピストにアクセスできるような世の中になればと願っています。


 インターネットを用いた情報社会となり、その情報をどのように扱うかは、利用者側のリテラシーに左右されてしまいがちです。一般の方々が、「心理療法の多様性」に関する情報に、平等に触れる機会を作るには、国家資格の創設というこの時期を逃してはいけないと考えました。唯一素晴らしい心理療法というものは存在しません。


ただ、「多様な心理療法の選択機会を提供し、その中から利用者自身に選んでもらう」 ということを進めていきたいと考えています。


 もちろん、全ての心理療法に対し”完全に平等”に伝えることはできません。やはり、これまで同様、声の大きい(数の多い)理論的立場が最も目立つでしょう。また、どうしても執筆する者の好みによって左右される部分はどうしても出てきてしまいます。ただ、思いとしては、多様性のある心理療法をできるだけ平等に伝えたいところです。


 以上のように、「公認心理師になるには」の執筆には、それなりの大義を持って取り掛かったつもりです。ただ、表紙やタイトル、価格など著者がなかなか関われない(関わりづらい)点もあり、思い残すところができてしまった書籍であったことは否めません。細目が決まっていない状態での刊行に関しては、反省点も少なからずあります。
 その分、できる限り中身に関しては精査したつもりですが、その他至らぬ点もあるとは存じます(誤植や書き方に難がある部分があれば申し訳ありません)。改訂版ではその後の情報をしっかり加え、より中立的なものとしていきたいと考えております。


なお、現在刊行中の書籍に掲載していない情報に関しては、MEDI心理臨床ポータルサイト や、当該サイトからのリンク先「公認心理師になるには」 にて、随時更新していくことで補完する予定です(書籍中にも記載あり)。


これからの「公認心理師」国家資格に望むこと


 「公認心理師」や「臨床心理士」といった心理職は、高度な知識と技術を要する職業です。資格を取得するだけではなく、取得した後にいかに自己研鑚していくかが大きく問われてきます。「資格を取っただけ」では終わらず、人の命や人生そのものに真摯に向き合っていく大切な職業だと思います。


 「公認心理師」という国家資格ができることによって、これまでの「臨床心理士」よりも資格取得者数が増えることが見込まれます。国家資格取得後の心理職自身の自己研鑚への思いや、研修機会の提供がますます望まれます。「臨床心理士」と比べ「公認心理師」は、(現在のところ)資格更新制ではなく、個々の自己研鑚意欲が試されるところかもしれません(臨床心理士は5年毎の資格更新制)。


 公認心理師国家資格がよりよいものになるように、また公認心理師の心理職としての全体の質が高くなることで、カウンセリング等の利用者が自ら選んで、よりよいサービスを受けられるような世の中になれば と考えています。


   そのためにできることは、これまで受けてきた研修の開示への義務付けなのか、利用者側に「心理職利用に関するリテラシー」を提供することなのか、その他の方法があるのかはわかりません。法整備ではそもそも限界がありそうですが、環境面からのクオリティ・コントロールがなされると、自ずと淘汰されていく世の中になるのかな、とも考えています。


たいへん長くなりましたが、以上を持って「公認心理師」国家資格に関する私的見解とさせていただければと思います。



一般社団法人 国際心理支援協会 代表理事
MEDI心理カウンセリング大阪 代表
臨床心理士 浅井伸彦